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データマイニングやその周辺のお話を書くブログ

Big data is like teenage sex(ビッグデータは10代のセックスのようなもの)

Big data is like teenage sex

検索で引っかかったどこぞやの大学の人の言葉を引用してみました。

 

 

ざっくりとした訳は「みんながそれについて話し合うけど、実際それをどうやるか知らない。自分以外のみんながそれをやっていると思っているから、みんながやっているといっている。」って感じ。

 

最近思うこと

「ビッグデータ」はアドテクの業界でも「データマネジメントプラットフォーム」とかDSP/RTBとかに関連して話題になっているし、よくお客さんからも相談をされる。会社の新規事業として「ビッグデータ」を扱いたい場合もあるし、「ビッグデータ」のチームを作ったけど、全然機能していないからどうにかしてほしいという話とかもあったりします。引用している記事の通り、みんなビッグデータを生かす組織を作りたいとか、うまくいってないのでどうしたらいいかみたいな問題をかかえていたりします。

そんな相談をされるときにお話をさせていただく、ビジネスにビッグデータを生かすために本当はすごく大切だけどあまり検討をされていないビッグデータを生かすときに個人的に気をつけている点を3点ほど。

 

1.アクションプランへのつなぎ込み

「分析をした結果、うちの顧客には○○というペルソナと××というペルソナがいることがわかりました!」という話をされることはあるけど、「その人にアプローチするためにはどうすればいいの?」とか「何のシステムとどう連携するとその結果は施策になるの?」とか、そういうアクションプランと連携できているケースは少ない。

出てきた結果をどういう風にアクションプランにつなげるかの部分がないとお金儲けをするのがかなり難しくなると思う。アクションプランまでのつなぎ込みができていない場合、ビッグデータチームはそれっぽいことを言うだけでお金をもうけることができない評論家の群れみたいなチームになっちゃうことが多い気がする。

 

2.他社データとの連携

実はビッグデータをビジネスに利用する際に自社データに加えて他社データ(例えば、Web閲覧履歴や購買履歴)もあわせて使うことが重要。自社データの中には「興味を持ったけど顧客にならなかった人」と「顧客になった人」の2つの顧客パターンしか包含していないので新規顧客の獲得に生かしづらい。他社のデータの中にはもちろん上記の2つの顧客パターンに加えて「新規顧客」が含まれる。

自社データと他社データをしっかり掛け合わせて既存顧客から適切なペルソナを見つけ出しターゲティングをしていかないとCRMや広告のリターゲティングのような既存の顧客の再来訪を促進するようなアクションプランにしかデータを生かせないことが多い。

 

3.リアルタイム性

これはどちらかというとテクニカルな部分で検討されていないことが多い。ビッグデータを使った何かをやる時、莫大な時間をかけて解析をしてその結果を使うことが多い。解析結果の確からしさを評価する場合、過去のデータを元に解析した結果を使って単一のモデルを作り評価を行うことが多い。しかもその評価があろうことか「2K(勘・経験)」でされることが多い。そうすると、「今まさに起こっていることを解析すること」よりも「過去に起こった至極当たり前な事象をアウトプットで出すこと」の方にインセンティブが生まれてしまう。でも、例えばランキングだと「最新のランキング」と「累積のランキング」を比較すると前者の方が引きが強いことが多い。

「大量のデータを長時間かけて整地な解析して結果を出すこと」が最適な手段ではなく、「再現性を担保するために必要十分なデータをなるべく素早く解析してアクションに反映すること」がビッグデータを生かす際に重要なことだと思う。

 

総括

ビッグデータ自体の熱が高まっていることはデータサイエンティスト(笑)な人としてはうれしいことだけど、今まで話を聞いた会社だと「環境整備に金がかかる割に役に立たない」とか、「環境は整ったけどどうすればいいかわからない」とか、聞いていて少し悲しくなるようなことを言われることが多い。少しでもそういった方にこのエントリーが役立つといいな。

テクノロジーの価値と普遍的な価値について。Adtech Tokyo 2013で思ったこと。

まずは

Adtech Tokyo 2013で思ったこと。といっても、「このテクノロジーは流行る」「これからの時代はこれだ」という話ではなくテクノロジーと販売方法について思ったこと。

 

今回のAdtechはDSPとかDMPとか、流行のキーワードを売りにしている会社がとにかく多かったと思う。2011年にフリークアウトがDSPを初めて作ってから2年がたって、DSPを日本で展開している会社は国内外のプレイヤーをあわせて10社以上あったかもしれないくらい展示している企業が多かった。

 

プロダクトとしてのDSPはロジカルに今までの広告配信と比べても良いし、大きな流れでいったら純広告はかなりの部分をRTB対応すると多くの人が思っているのだと思う。だから、2年間で10社を超える会社が日本でビジネスを展開するようになったんだと思う。

 

そんな中でDSPは2年前と今と比較してプロダクトとその価値はどうかわったのだろうかというところにいろいろと思うところがあった。

 

本題

 

2年前までのDSPはDSPを使うこと自体が多くのクライアントにとって大きな価値があるテクノロジーだったんだと思う。でも、今はDSPというプロダクトを提供できる会社自体は何社もあって、クライアントの意識としては「DSPを使う」ということから「どのDSPを使うか」ということに意識が変化しているように思えた。コンセプトを売りとしたテクノロジーは正直パクるのが簡単なのでみんながロジカルにいけていると思うのでテクノロジーはすぐにパクり合うことになる。そうすると結果として、テクノロジー自体は陳腐化して「利幅を減らし合う競争」か「テクノロジーを使った価値創出の度合い」の2点に競争が変遷していく。前者の戦略は競争優位の源泉が安さにあるため、わかりやすく販売をしやすい。でも、今までの利益率を確保するためには後者の戦略をとらざる終えない。

 

その時点で営業はコンセプトで売るスタイルから販売方法を変えなくてはいけなくなるし、開発は販売方法にあわせたプロダクトロードマップを立てなくてはいけなくなる。テクノロジーのコンセプトを売りにしている会社はその変化点を常に意識しながら、販売方法やプロダクトロードマップを変えていかないとプロダクトは陳腐化し、販売上での競争優位性を失っていくのだと思った。

 

自分が代表をやっている会社はDMPやデータマイニングといった現時点ではコンセプト面でいけているプロダクトを展開している。これに関してもコンセプト自体は近い将来陳腐化をしていくし、しっかりと普遍的な価値との連動を考えたプロダクトを作っていかなきゃいけないと思った。

 

この事象自体はアドテクノロジーの業界のDSPという1広告商材で起こりつつある出来事だけど、多くのコンセプトを売りにしたプロダクトはこれに陥るのだと思う。そうならないためにも常に「テクノロジーのコンセプトの価値」と「普遍的な価値」を常に頭の中で切り分けていく必要があると思う。