オンラインゲーム業界の構造
バイト先で「業界の不条理さ」について少々聞いたので
ハイテク産業の技術経営で有名なキヨノリ(榊原清則先生)の研究会に参加していた
ときに学んだ知識などを元に少しお話を書いてみる。
特にその時学んだ「統合型企業のジレンマ」を元に少し考えてみた
(詳しくは氏の著書「イノベーションの収益化」やクリステンセンが書いた「イノベーションのジレンマ」を参照)
※以下の内容は自分の”主観”と知っている”範囲での”知識を元に書いているので信憑性は各自で判断してもらいたい。
1.統合型企業のジレンマの軽い説明
統合型企業のジレンマとは企業の成長過程で以下の段階を踏む現象のことをさしている
製品の基幹部品の内製化
↓
内製化によって発生したコスト高の発生
↓
部品生産の需要が企業内のキャパを越える
↓
部品のアウトソーシング、外販化を開始
↓
アウトソーシング先が他社向けに同様の部品を提供するようになる
↓
部品による差別化が行えなくなり、ブランド競争または価格競争に陥る
↓
統合型企業は価格戦略において優位を築くことができなくなり衰退する
と、これが統合型企業のジレンマと言われるものである。
2.オンラインゲーム業界においての統合型企業のジレンマ
オンラインゲームには部品がないわけですが、
ゲーム自体に存在するコンセプトやシナリオライト的なものが
部品に当たると思う。
受けるコンセプトというものは割と決まっていて
それゆえに、受けるコンセプトやシナリオライトは
後発の会社であればある程度マーケティング的に作ることができる。
そういった理由から後発の開発会社やパブリッシャーの方が
結構健全な経営状況だったりする。
ただ、ここでオンラインゲーム特有の問題で不条理な状態が発生する。
普通の産業であればある程度、国の経済規模に産業の規模が依存して
日本は割と優位な立場にある。
なので、日本の企業の買収となると
大抵、アメリカの企業からの買収になる。
ただ、オンラインゲームは国の経済規模にあまり依存せず大きくて
なおかつ、後発で経営状態がいい会社が結構存在する
そのため、価格優位を生かした会社がブランドのある会社を買収する。
ゲーム、とくにオンラインゲームの会社においては
統合型企業のジレンマによって生じる問題が
直接会社の存亡の危機に直結してしまうという
危険性が強い気がする。
その結果として、ここ2日くらいで
WemadeによるYNKジャパンの買収
http://japan.internet.com/finanews/20100203/5.html
Perfect WorldによるC&Cメディアの買収
http://www.4gamer.net/games/028/G002809/20100203061/
といった事態におちいったんじゃないかなぁとおもう。
単に日本のオンラインゲーム業界がいまいちという説もあるけど
(昨日、某巨大オンラインゲーム会社が日本を徹底するかもという噂を聞いた)
こうも買収が立て続けにあると
産業構造の不安定さが目立つなぁとおもって
こんなことを書いてみました。
最近MIXIアプリとかモバゲー、GREEのプラットフォーム開放など
カジュアルゲームが流行ってるし、そこら辺に群がっている会社も増えてきた。
近い将来、日本のオンラインゲームのパブリッシャのように
買収されまくるという事態におちいるんじゃないかと
他人事ながら今からヒヤヒヤしたりする。
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
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